犬を飼うということ。犬と暮らすために何が必要か考えてみましょう

【ペット】犬を飼うということ。犬と暮らすために何が必要か考えてみましょう。


畜犬登録

生後91日以上の犬は、飼い始めてから30日以内に「畜犬登録」をして、登録証明として鑑札 (かんさつ)の交付を受けてください。鑑札は首輪等に必ず着けてください。ただし、生後90日以内の犬を飼い始めた場合は、生後90日を経過した日から30日以内に新規登録の手続きをしてください。畜犬登録は、その犬の生涯に1度必要です。ペットショップ等で購入した犬や他者から譲り受けた犬が、既に登録してあった場合は犬の登録内容を変更しましょう。

動物病院によっては畜犬登録と狂犬病予防注射が同時にできるところもあります。鑑札と注射済票については、動物病院で当日受け取れる場合と後日郵送で送られてくる場合とがあります。ただし、飼い犬が生後まもない等の理由で畜犬登録のみ行いたい場合は、やはり保健所または役所にて登録手続きを行ってください。

窓口は市町村によって呼び名が違いますが、市役所の衛生課や保健衛生センターや環境政策課、クリーンライフ課等です。

鑑札と注射済票が郵送で送られてくる場合は、届くまでに時間が係ることがあるかもしれません。届く前にペットホテルやトリミングでお店を利用したい時は、理由を説明して病院でもらった狂犬病予防接種の領収書などを提示すればだいたいは大丈夫だと思います。



狂犬病予防注射

毎年1回の「狂犬病予防注射」が義務付けられています。動物病院もしくは集合注射会場で予防注射を実施すると、その年度の狂犬病予防注射済票が交付されるので、鑑札と一緒に必ず飼い犬の首輪等に装着してください。

まだ畜犬登録をしていない人は、集団接種の日時と会場を市区町村に問い合わせてください。畜犬登録済みの人は、時期が近づくと葉書などで連絡が来ます。集団接種の機会を逃しても動物病院で予防注射はできますが、その場合は動物病院で渡される注射済証明書を保健所もしくは役所に提出する必要があります。(注射済票交付手数料550円)



予防注射を受ける際の注意

  • 送られてきた「飼い犬の注射済票交付申請書」を必ず持参しましょう。
  • 犬の体を清潔にし、犬をしっかり制御できるかたが連れて行きましょう。
  • 犬のフン等を始末するための袋などを持参しましょう。
  • 犬に異常がある場合、事前に獣医師に相談しましょう。


鑑札と注射済票のデザイン

以前は狂犬病予防法施行規則で全国統一のデザインが決められていた鑑札と注射済票ですが、平成19年から要件を満たす場合には各市区町村において自由にデザインを決めることが出来るようになりました。



その他の届出

犬が死亡したときや犬の所在地、飼い主の住所などで登録した内容に変更があったときには、届け出が必要です。また、飼い主が変わるときは「廃犬届け」を出して鑑札を返し、登録を抹消してもらいます。




手数料

  • 畜犬登録手数料 3,000円
  • 狂犬病予防注射済票交付手数料 550円

鑑札や狂犬病予防注射済票を紛失したとき

鑑札や狂犬病予防注射済票を紛失したときは、再交付申請をしてください。
  • 鑑札再交付手数料 1,600円
  • 狂犬病予防注射済票再交付手数料 340円



特定犬

各都道府県および市町村においては、条例によって規制している自治体がある。例として、北海道札幌市の「札幌市動物の愛護及び管理に関する条例」と茨城県の「茨城県動物の愛護及び管理に関する条例」の特定犬に指定される要件を見比べます。


北海道札幌市
  • 柵又は檻(おり)、その他の囲いの中で飼養する場合には、これらは鉄、金網その他の堅固な材料で造られたものとし、その出入口の戸に錠を設けること
  • 丈夫な綱、鎖等で固定した物につないで飼養する場合は、飼い主以外の者が容易に近づけないようにすること
  • 飼養施設又はその周辺の公衆の見やすい箇所に、特定犬を飼養している旨を表示すること

  1. 秋田犬
  2. 土佐犬
  3. アメリカン・スタッフォードシャー・テリア(アメリカン・ピット・ブルテリアを含む。)
  4. グレート・デーン
  5. ジャーマン・シェパード・ドッグ
  6. スタッフォードシャー・ブル・テリア
  7. スパニッシュ・マスティフ
  8. セント・バーナード
  9. ドーベルマン
  10. ドゴ・アルヘンティーノ
  11. ナポリタン・マスティフ
  12. ブラジリアン・ガード・ドッグ
  13. ブル・テリア
  14. ブルマスティフ
  15. ボクサー
  16. マスティフ又はロットワイラーに属する犬



茨城県
  • 特定犬は「おり」の中で飼うこと
  • 上下四方が囲まれていること
  • 十分な強度を持っていること
  • 人に危害を加えられない構造になっていること

  1. 秋田犬
  2. 紀州犬
  3. 土佐犬
  4. ジャーマン・シェパード
  5. ドーベルマン
  6. グレートデン
  7. セントバーナード
  8. アメリカン・スタッフォードシャー・テリア(アメリカン・ピット・ブル・テリア)
  9. 体高60センチメートルかつ体長70センチメートル以上の犬(雑種含む)
  10. 県知事が指定した犬。危険性があるとあらかじめ判断される犬。


特定犬のシール

飼養場所に特定犬を飼養している旨の標識「特定犬」のシールを飼養場所住居の出入り口等の見やすい場所に貼ること。

※「特定犬」のシールは毎年郵送にて交付しています。

多数の動物の飼養届

多数の動物を飼養した場合、飼い方によっては動物の健康や安全が損なわれたり、臭いや鳴き声で生活環境の悪化を招くことがあります。自治体では、こうした事態を防止するために、多頭飼養の実態を把握し、必要に応じて飼い主にアドバイスや指導などを行うことを目的とする届出制度を新設します。
例とて、埼玉県(さいたま市を除く)と、さいたま市の多頭飼養の条例の要項を載せておきます。


埼玉県
埼玉県では、「埼玉県動物の愛護及び管理に関する条例」の改正により、平成26年10月1日から知事への届出が必要になりました。

県内(さいたま市を除く)で犬・猫(生後90日以内の個体を除く)を合計で10頭以上飼養する人が対象となります。届出の対象となった日から30日以内に届出が必要です。

届出後、届出事項の項目に変更が生じた場合は、変更があった日から30日以内に「多数の動物の飼養届出事項変更届出」の届出が必要です。

届出後、飼養している犬・猫の数が10頭未満となった場合は、「多数の動物の飼養廃止届出」の届出が必要です。ただし、飼養している動物の数が再び10頭以上となった場合、新たに届出が必要です。


除外規定
  • 動物愛護法第10条第1項に基づく登録を受けた人(ペットショップ、ブリーダーなど)
  • 同法第24条の2に基づく届出を行った人(動物愛護ボランティア団体など)
  • その他規則で定める人(獣医療法第3条に基づく届出を行った人(動物病院開設者)など)


罰則規定
届出をしない、または虚偽の届出をした場合は、3万円以下の過料



さいたま市
さいたま市では、動物の愛護及び管理行政のより一層の推進を図るため、平成25年9月1日から施行された改正「動物の愛護及び管理に関する法律」で地方公共団体の措置として条例で定めることが可能となった事項のうち、法第9条に基づき、多数の動物の飼養に係る届出制度を新たに規定しました。

さいたま市内において、生後90日を超える犬及び猫を、個別又は合計で10 頭以上飼育する人が対象です。変更があった場合は「多数の動物の飼養変更届出書」の届出が必要です。また、犬・猫の数が10頭未満となった場合は「多数の動物の飼養廃止届出書」の届出が必要です。

除外規定
  • ペットショップや譲渡施設等の第一種及び第二種動物取扱業を行う者
  • 獣医療法に基づく届け出をした者(動物病院)
  • 化製場等に関する法律第9条第1項に基づく犬の飼養許可を受けた者が飼養する犬

罰則規定
  1. 新規又は変更の届出をしなかった者又は虚偽の届出をした者について、3万円以下の過料に処すること。
  2. 廃止の届出に際し、虚偽の届出を行った者について、3万円以下の過料に処すること。

※ 犬・猫を合計10頭以上というのはどの自治体でも共通ではありません。京都市では、「犬5頭以上又は、猫10頭以上又は、犬・猫合わせて10頭以上」という条例もあります。


日本では狂犬病予防法で飼い犬への登録と狂犬病予防注射を義務付け、飼い主の責任と所在を明確にすることで、狂犬病の発生を防止しています。



狂犬病

狂犬病とは、狂犬病ウイルス(きょうけんびょうういるす/rabies virus)に感染することで発症する病気です。狂犬病ウイルスは、ラブドウイルス科(rhabdoviridae)のリッサウイルス(lyssavirus genus)に属しています。

人獣共通感染症であり、ヒトを含めたすべての哺乳類が感染します。人への感染源のほとんどが犬ですが、ネコやコウモリなどイヌ以外の野生動物も感染源となり得えます。水を恐れるようになる特徴的な症状があるため、恐水病または恐水症 (hydrophobia) と呼ばれることもある。また、水だけに限らず、音や風も水と同様に感覚器に刺激を与えて痙攣等を起こします。

人への感染源のほとんどが犬であることを考えても、人への被害を予防するためには、犬での狂犬病流行を防ぐことがまず重要です。そのために、犬の飼い主の方は、毎年必ず飼い犬に狂犬病予防注射を受けさせましょう。また、万一日本に狂犬病が侵入した場合に迅速な対応をとるためにも、日頃からどこで何頭犬が飼われているのかを把握しておくこともとても重要です。そのために、犬の飼い主の方は、狂犬病予防注射と合わせて、畜犬登録も必ず行いましょう。この義務が守れない人は、犬を飼う資格はありません。

全世界では毎年5万人以上が死亡している病気です。日本では、1957年のネコ感染報告後は、狂犬病の発生は確認されていません。その後、国内での感染が確認されなくなって以降、日本で狂犬病が発症した事例は3件でともに日本国外での輸入感染です。



輸入感染事例

  • 1970年にネパールを旅行中の日本人旅行者が現地で犬に咬まれ、帰国後に発病・死亡
  • 2006年に京都府在住および神奈川県(2年前からフィリピン滞在)の60代の男性2人がフィリピン滞在中に犬に噛まれたことが原因で帰国後に狂犬病を発症し、2人とも死亡

※京都での感染事例では、医療機関受診時点で既に脳炎症状を発症していて、病歴の正しい聴取が困難だった可能性が報告されています。



曝露前ワクチン予防接種

狂犬病ワクチンは、海外渡航する人以外は日本人で接種する人はまずいません。日本国内では狂犬病が撲滅されていることもあり、狂犬病ワクチンは生産量が少なく、値段も高く設定されています。自費診療なので、金額は医療機関側で自由に設定することができます。多くの医療機関では、1本のワクチンで15,000円~18,000円に設定しているところが多いようです。

狂犬病予防ワクチンの接種は、国内製造のワクチンの場合は、初回、4週間後、半年後の計3回接種です。接種終了後は1年から1年半の免疫がつきます。免疫効果を持続させるには1〜2年に一本の追加接種が必要で、以後5年ごとに本づつ追加接種を行います。

輸入ワクチンの接種スケジュールはワクチンの種類によって異なりますが、国内製造のものより短期間で接種が完了します。例として、初回、1週間後、3週間~4週間後の計3回接種で接種完了できる輸入ワクチンもあります。

しかし、輸入ワクチンを接種した場合は、もし副作用が起こっても日本のワクチン救済制度の対象にはなりません。その代わりに輸入業者が救済制度を設定していることもあるので、医療機関に問い合わせてみましょう。



症状

体内でのウイルスの進みは1日に数ミリから数10ミリと非常にゆっくりなので、潜伏期間はウイルスが侵入した部位によって変化します。たとえば顔を引っかかれたなどの場合は、脳までの距離が短いので発症は早くなる傾向にあります。反対に脳から遠い部分、たとえば足先をかまれた場合は発症まで半年から1年かかることもあるのです。

狂犬病ウイルスは神経を伝うので血液内には現れず、血液検査では発見されません。そのため、発症する前に感染したかどうかを診断することはできません。

犬が人を咬んだ時に、狂犬病を感染させる可能性があるかどうか判断するためには、咬傷事故後に2週間程度、犬の経過観察を行う必要があります。事故当時に唾液中に狂犬病ウイルスを排泄していたとすれば、その犬は2週間以内に何らかの神経症状を示した後、死亡します。逆に言うと、2週間以上生存していれば咬傷事故での狂犬病感染の可能性はないと判断できます。

狂犬病ウイルスに感染すると、ウイルスはその傷口から神経を伝って脳に侵入し脳炎を起こします。狂犬病の感染から発症までの経過は、潜伏期、前駆期、急性神経症状期(狂騒期)、昏睡期に分けられます。


前駆期
まずは風邪に似た症状ではじまり、発熱や頭痛、食欲の減退、体のだるさ、吐き気や嘔吐が起こり、だ液が大量に出ます。いったんは治癒していた噛傷に、痛みやかゆみが再び現れることもあります。そして精神面では、強い不安感に襲われたり、落ち着きがなくなり興奮しやすくなります。

急性神経症状期(狂騒期)
不安感、恐水症、興奮、精神錯乱、麻痺、筋痙攣などの神経症状があらわれます。また、液体を飲もうとすると首の筋肉にけいれんが起こり、激しく傷むのが特徴です。このため水を恐れるようになります。冷たい風に吹かれても同様にけいれんします。ただし、恐水症状を示さない例(急性型)もしばしばあります。

昏睡期
最終的には、高熱を出して全身がけいれんを起こし、呼吸障害により死亡します。

麻痺型
急性期の神経症状がみられずに麻痺が全身にひろがる例であり、特にコウモリに咬まれて発病したケースに多いとされています。


発病した狂犬病を治すことはきわめて困難です。これといった治療法も確立しておらず、死亡率はほぼ100%と言われています。発病してから助かった例は、これまでに数件しか報告されていません。



海外などで犬にかまれたら?

海外で犬にかまれたら、すぐに傷口を石けんと流水で15分以上洗い、消毒液やエタノールで消毒します。血がウイルスを体外に押し出すことを期待して、止血はしません。また、傷口に口をつけて吸い出してはいけません。口の中の粘膜から感染する可能性があるからです。そして、できるだけ早く病院を受診しましょう。



曝露後ワクチン接種

現在、狂犬病はいったん発症すれば効果的な治療法はありません。ほぼ100%の人が死亡します。感染動物にかまれるなど感染した疑いがある場合には、その直後からワクチンを連続接種する「曝露後ワクチン接種」を注射することで発症を抑えることが期待できます。これには迅速かつ適切な処置が重要です。

狂犬病予防注射を行っていなかった場合は、初回のワクチン接種日を0日目として、3日目、7日目、14日目、30日目、そして90日目の計6回皮下に接種します。事前にワクチン接種を行っている場合は、ワクチン接種が1年以内であれば0日目、3日目の2回。1~5年前であれば0日目、3日目、7日目の3回。5年以上前であれば曝露前ワクチン接種を行わなかったときと同様に6回とされている。



狂犬病予防法に下記の法律があります。

第二十七条  次の各号の一に該当する者は、二十万円以下の罰金に処する。

一  第四条の規定に違反して犬(第二条第二項の規定により準用した場合における動物を含む。以下この条において同じ。)の登録の申請をせず、鑑札を犬に着けず、又は届出をしなかつた者

二  第五条の規定に違反して犬に予防注射を受けさせず、又は注射済票を着けなかつた者

三  第九条第二項に規定する犬等の隔離についての指示に従わなかつた者

四  第十条に規定する犬に口輪をかけ、又はこれをけい留する命令に従わなかつた者 以下省略します。


こういう法律があるんだという事は、知っておきましょう。

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